年収を上げたい薬剤師必見！高年収を実現する職場選びのポイントと必要なスキルセット

同じ薬剤師免許を持っていても、年収は人によって大きく違います。年収700万円以上を得ている薬剤師がいる一方で、400万円台にとどまっている薬剤師も少なくありません。
「どうせ働くなら、できるだけ高い年収を目指したい」「今より年収を上げたい」と考えるのは自然なことです。

では、なぜ同じ資格を持つ薬剤師なのに、ここまで年収差が生まれるのでしょうか。
その答えは主に、

• どんな職場を選ぶか（職場選び）
• どんな能力・スキルを身につけているか（スキルの違い）

この2つに集約されます。
この記事では、薬剤師を取り巻く環境の変化にも触れながら、

• 薬剤師の平均年収と職場別の年収目安
• 年収アップを狙いやすい職場の特徴
• 高年収の薬剤師に共通するスキルセット
• これからの時代に「選ばれる薬剤師」になる方法

をわかりやすく解説していきます。
今の働き方にモヤモヤしている方、将来のキャリアを真剣に考えたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

薬剤師の平均年収はいくら？自分の年収は高い？低い？

まずは、自分の年収が全体と比べてどの位置にあるのかを知ることから始めましょう。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査（2017年）を参考にすると、薬剤師の平均年収はおおよそ次の通りです。

• 薬剤師全体の平均年収： 約544万円
• 男性薬剤師の平均年収： 約575万円
• 女性薬剤師の平均年収： 約526万円

あなたの現在の年収は、この平均と比べてどうでしたか？
もし、

• 平均より低くて不安になった
• 平均と同じくらいだけど、今後が心配
• もっと年収を伸ばせるポテンシャルがある気がする

と感じたなら、職場選びを見直すこととスキルアップの方向性を戦略的に決めることで、年収アップの可能性は十分にあります。

次の章では、職場別に年収の目安と特徴を詳しく見ていきましょう。

【職場別】薬剤師の年収ランキングと特徴

一口に「薬剤師」といっても、その活躍の場はさまざまです。
主な就業先としては、

• 病院
• 調剤薬局
• ドラッグストア
• 製薬会社（研究職・MRなど）

などがあります。同じ薬剤師でも働く場所が変われば、仕事内容も年収も大きく変わるのが現実です。

ここでは、業務内容・求められるスキル・年収の目安をセットで解説していきます。

① 病院薬剤師｜チーム医療の一員として働くスペシャリスト

平均年収の目安：350万円〜600万円程度

病院薬剤師は、高度な専門知識が求められる職場です。調剤薬局やドラッグストアとは異なり、入院患者・外来患者双方の治療に深く関わりながら働きます。

主な業務内容

• 外来患者への調剤・服薬指導
• 入院患者の薬剤管理・服薬指導
• 注射薬の調剤・管理
• 医薬品情報（DI）の収集・提供（DI室での業務など）
• 医薬品の投与量、副作用、相互作用に関するデータ蓄積
• 治験業務への参加・支援

病院薬剤師ならではの大きな違いは、チーム医療の一員として働けるという点です。医師・看護師・管理栄養士・リハビリスタッフなど、さまざまな医療従事者と連携しながら患者さんの治療に関わります。

その分、業務量や責任は大きいにもかかわらず、年収面だけを見れば決して高待遇とは言いにくいのが実情です。しかし、

• 高度な薬物治療の知識・経験が積める
• 症例数が多く、スキルアップの機会が多い
• チーム医療の経験が将来のキャリアの強みになる

という意味では、薬剤師としての専門性を深めたい人には非常に魅力的なフィールドだといえるでしょう。

② 調剤薬局｜ワークライフバランスと地域密着で安定した働き方

平均年収の目安：400万円〜650万円程度

調剤薬局は、薬剤師の代表的な就業先のひとつです。
店舗によって異なりますが、

• 残業が比較的少ない
• 土日祝休みの店舗もある
• シフトの融通がききやすい

など、プライベートと両立しながら働きやすい環境が整っているケースも多く見られます。

主な業務内容

• 処方せんに基づく調剤
• 服薬指導、薬歴管理
• 疑義照会・医師への情報提供
• 在宅患者への訪問服薬指導（在宅医療に取り組む薬局の場合）

近年は、「かかりつけ薬剤師」や「在宅医療」へのニーズが高まっており、調剤薬局にも患者さんの生活背景まで含めて支える役割が期待されています。

そのため、調剤スキルだけでなく、

• 地域の患者さんと信頼関係を築くコミュニケーション力
• 在宅医療や多職種連携への理解

といった能力を持っている薬剤師は、年収アップや役職登用のチャンスが広がるでしょう。

③ ドラッグストア｜高年収を狙いやすい注目のフィールド

平均年収の目安：400万円〜700万円程度

ドラッグストアは、薬剤師の中でも比較的高年収を狙いやすい職場として人気が高まっています。

主な業務内容

• OTC医薬品（一般用医薬品）の販売・接客
• 調剤室併設店舗では、処方せん調剤業務
• 健康相談、セルフメディケーションのサポート
• 店舗運営（売り場づくり、在庫管理、スタッフマネジメント など）

ドラッグストアでは、医薬品だけでなく、日用品・化粧品・食品など幅広い商品を扱います。そのため、

• 「薬剤師としての専門性」に特化したい人には物足りない

と感じる場合もありますが、一方で、

• お客さまの悩みや症状を聞き出し、自ら提案できる
• 接客スキルや販売スキルを伸ばせる
• 店舗運営やマネジメントに携われる

など、「薬剤師＋α」のスキルを身につけられるフィールドでもあります。

ドラッグストアで高年収が狙える理由

• 大手スーパーやコンビニとの提携などで市場規模が拡大し、薬剤師が慢性的に不足している
• 医薬品以外の商品も扱うため、経営が安定しやすく、高い給与を提示しやすい
• 調剤＋OTC販売により利益率が高く、診療報酬改定の影響を受けにくい

特に、店長やエリアマネージャーなどマネジメントポジションを目指すことで、年収700万円以上も現実的なラインになります。

④ 製薬会社（研究職・MR）｜高年収だが専門性と競争も高い

平均年収の目安：550万円〜900万円程度

製薬会社で働く薬剤師は、

• 研究職（新薬・製剤開発など）
• MR（医薬情報担当者／営業・広報的なポジション）

として活躍しているケースが一般的です。

製薬会社は、他の職場と比べても年収水準が高い傾向にありますが、

• 薬価引き下げ
• ジェネリック医薬品の普及

などの影響により、今後も状況が変化していくことが予想されます。特に、MRの人数は全体としては縮小傾向にあり、単に「薬剤師だから」だけでは通用しにくくなっているのが現状です。

それでも高年収を維持しやすいMRとは？

MRの中でも、

• がん領域
• 希少疾患領域
• 精神・神経系領域

など、専門性の高い領域に特化しているMRは、引き続き高いニーズがあります。
自分の専門分野を深められる製薬会社で経験を積めば、高年収とやりがいの両立も十分に期待できるでしょう。

薬剤師が年収アップのために身につけたい5つのスキル

薬剤師を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。

• 薬学部の増設による薬剤師数の増加
• 処方せん枚数の頭打ち
• 薬局経営に影響する診療報酬改定
• 高齢化による医療費増大と、国による医療費抑制策（薬価引き下げ・在宅医療推進など）
• 調剤機器・在庫管理システムなどテクノロジーの進歩

これまで「売り手市場」と言われてきた薬剤師ですが、今後は「数が足りない」状態から「数はいるけれど、質が問われる」時代へと移行していくことが予想されます。

そんな中、どんな時代でも必要とされ、高年収を維持できるのが「付加価値の高い薬剤師」です。
ここからは、年収アップのためにぜひ意識して身につけたい5つの重要スキルをご紹介します。

① マネジメントスキル｜管理薬剤師・店長・リーダー職への近道

マネジメントスキルは、職場を問わず評価される普遍的なスキルです。

マネジメントスキルが活きる場面の例

• 部下薬剤師や事務スタッフの育成・指導
• シフト管理や業務分担の最適化
• 店舗の売上・利益・コストの把握と改善提案
• 医薬品や在庫の管理・保管体制の構築

これらの能力が高い薬剤師は、

• 管理薬剤師
• 店舗責任者・店長
• エリアマネージャー

など、マネジメントポジションに抜擢される可能性が高くなり、その分年収も上がりやすくなります。

② コミュニケーションスキル｜機械には代替できない価値

調剤や在庫管理などの業務は、今後ますます機械化・自動化が進んでいきます。
そんな中で、AIやロボットには代替しづらいのが「コミュニケーションスキル」です。

薬剤師に求められるコミュニケーションの相手

• 患者さん本人
• 患者さんのご家族
• 医師・看護師などの医療スタッフ
• 介護士・ケアマネージャーなど介護スタッフ

症状や生活背景、服薬状況を丁寧に聞き取り、患者さんの不安に寄り添いながら最適な提案をする力がある薬剤師は、どの職場でも重宝されます。

特に、在宅医療やかかりつけ薬剤師として活躍したい場合には、コミュニケーションスキルは年収アップにも直結する重要スキルとなります。

③ 英語力｜最新の医療情報にアクセスし、外国人患者にも対応

訪日外国人の増加により、薬局や病院に外国人が来局する機会は確実に増えています。
都心部はもちろん、地方でも英語対応が必要になるケースは今後さらに増えていくでしょう。

そのため、薬剤師にとっての英語力は、

• 外国人患者への対応のための英会話力
• 最新の医療情報をキャッチする英文読解力

の両方が重要になってきます。

特に、海外の論文やガイドラインは英語で発表されるものが多く、英語が読めるかどうかで得られる情報量に大きな差がつきます。
英語力を身につけておくことで、

• 専門知識のアップデートがしやすくなる
• 海外の症例報告をもとに医師へ提案できる
• 製薬会社やグローバル企業への転職でも有利になる

といったメリットがあり、長期的に見て大きな年収アップにつながる可能性が高いスキルです。

④ 在宅医療の知識・経験｜高齢化社会で求められる薬剤師像

医療費を抑制するため、国は在宅医療の推進を強く打ち出しています。今後、在宅医療に対応できる薬剤師の需要は確実に高まるでしょう。

在宅医療に関わる薬剤師の主な役割

• 患者さんの自宅での服薬指導
• 薬の保管状況や残薬の確認・調整
• 食事内容や生活状況も含めた総合的なアドバイス
• 医師・看護師・ケアマネージャーとの情報共有・連携
• がん患者などに対する無菌調剤・疼痛管理支援

在宅医療では、ただ薬を渡すだけでなく「生活そのもの」を支える視点が求められます。そのため、

• 患者さんとじっくり向き合いたい
• 地域医療に貢献したい

と考えている薬剤師にとっては、やりがいの大きい分野です。
在宅医療の経験や知識を持つ薬剤師は、今後さらに必要とされる存在となり、高収入ポジションへの道も開けていくでしょう。

⑤ 専門資格・認定の取得｜「選ばれる薬剤師」になるための武器

近年、薬剤師向けの資格や認定制度は多様化しています。
その中でも特に注目したいのが、

• 認定薬剤師（すでに「持っていて当たり前」の時代へ）
• 認定実務指導薬剤師（薬学生の実務実習を指導できる資格）

薬学部の増設に伴い薬学生が増えているため、実務実習の指導ができる薬剤師の価値は高まっています。実習指導手当が支給される企業もあり、年収アップに直接つながる資格といえます。

そのほかの専門資格の例

• がん専門薬剤師
• 小児薬物療法認定薬剤師
• 栄養サポート専門療法士
• NR・サプリメントアドバイザー など

これらの資格は、特定の分野における高い専門性の証明になります。
自分の興味や強みと重なる分野の資格を選んで取得することで、

• ほかの薬剤師と差別化できる
• 転職市場で有利になる
• 専門職として高収入を得やすくなる

といったメリットが期待できます。

年収アップを実現する「職場選び」のコツ

年収を上げるためには、スキルを磨くことと同じくらい、「どの職場を選ぶか」も重要です。

職場選びでチェックしたいポイント例

• 自分の希望年収が相場として現実的かどうか
• 昇給・賞与の仕組みが明確か
• 役職やキャリアステップのパターンが用意されているか
• 在宅医療・専門薬剤師など、今後伸ばしたい分野に携われるか
• ワークライフバランスと年収のバランスは取れているか

自分一人でこれらの情報を集めて比較するのは簡単ではありません。
そこで活用したいのが、薬剤師専門の転職エージェントや人材紹介会社です。

転職エージェントを利用するメリット

• 公開されていない非公開求人を紹介してもらえる
• 年収交渉や条件交渉をプロが代行してくれる
• 自分の経験・希望を踏まえて、現実的なキャリアプランを一緒に考えてくれる
• 最新の市場動向や、将来性のある分野・職場の情報を教えてもらえる

初めての転職であっても、プロのサポートを受けることで、年収アップとミスマッチ防止の両方を実現しやすくなります。

まとめ：年収アップのカギは「職場選び」と「スキルの違い」

薬剤師が年収を上げるためには、資格を持っているだけでは不十分な時代になりつつあります。
大切なのは、

• どの職場で働くか（職場選び）
• どんなスキルを身につけるか（スキルの違い）

の2つを意識してキャリアを設計していくことです。

この記事のポイントおさらい

• 薬剤師の平均年収は約544万円前後だが、職場やポジションによって大きく差が出る
• ドラッグストア・製薬会社は高年収を狙いやすい一方、病院・調剤薬局も専門性を高めれば年収アップが可能
• マネジメント力・コミュニケーション力・英語力・在宅医療の知識・専門資格が「付加価値のある薬剤師」を作る
• 転職を考える際は、年収だけでなく将来性や働きやすさも含めて「職場選び」を行うことが重要

マネジメント力やコミュニケーション力は、一夜にして身につくものではありません。
日頃から意識して周りの人と関わり、少しずつ経験を積み重ねていくことで、必ずあなたの強みになっていきます。

そして、「どんな職場で、その強みを活かすか？」を考えることが、薬剤師としての年収アップとキャリアアップへの近道です。
もし今の職場に少しでもモヤモヤがあるなら、転職エージェントや人材紹介会社に相談して、自分の市場価値と可能性を一度確認してみるのも良いきっかけになるでしょう。

将来のための一歩を早めに踏み出し、「選ばれる薬剤師」として、納得のいく年収と働き方を手に入れてください。